フランチャイズ経営失敗談

転職を意識しはじめると、同時に見えてくるのが自営業をする道かもしれませんね。

転職という検索キーワードに「独立」とか「開業」なんていうフレーズがついてきて、なんとなくそんなのもいいかも…と考えはじめる方も多いです。「一国一城の主」なんて言葉にちょっと心くすぐられたりしながら、気付いたらアントレとかマイナビのセミナーに行ってた、という方もいました。

そして、自営を始める一番身近な方法が「フランチャイズ契約をして、開業する」ということかもしれません。ご存知の通りフランチャイズとは、本部(フランチャイザー)と加盟店(フランチャイジー)が契約を結び、本部に契約金を支払うことで屋号や商標の使用権・商品やシステムの販売権を得る仕組みです。
とっても簡単に言えば、お金を払って看板を買ってきて、その看板を掛けて商売をするという感じでしょうか。現在フランチャイズチェーンは約1,500チェーン、市場規模は27兆円に迫る規模と言われています。

フランチャイズの大きなメリットは、何よりも「カンバンを買ってくることができる」こと。

この「カンバン」には、その企業の名前や商標はもとより、運営する上でのノウハウが全て含まれています。

…例えて言うなれば、「評判の良い鰻屋さんの名前だけでなく、秘伝のタレの作り方から焼き方、仕入れ先まで全部を買ってくることができる」ということになります。そして、開業した最初から「評判店」という知名度もゲットできるわけですね。本人に専門知識がなくても、加盟金を払ってスキルを身につけ開業できるのは大きな魅力です。

じゃあ、デメリットは…

お察しの通り、加盟金+ロイヤリティー これに尽きます。

本部が有名であればあるほど、加盟金の額も上がる。当たり前のことです。
多分日本で最も有名なフランチャイザー「セブン・イレブン-ジャパン」の場合、土地と店舗を本部が用意するタイプの加盟(Cタイプ)で加盟金(成約預託金)は約250万円になります。意外と安い…ようですが、そこに毎月の売り上げからのロイヤリティが掛かります。なんと、月の売り上げが550万円以上の場合70%オーバー、最低でも40%超えの金額を本部に支払っていく必要があります。特に30代・40代で独立開業していくうえで、この金額はどうしても意識しておくべきものになります。

僕の場合、先輩の誘いに乗って独立したのがまさにこのフランチャイズ形式の学習塾経営でした。確か加盟金や研修等含め総額で600万ちょっとで開業できるプラン、しかもロイヤリティは売上変動制ではなく固定制というものでした。
悪くない話と思って実際開業してみると…「カンバン」の意味がほとんど無かったのです。運営ノウハウはともかく、少なくとも開業した首都圏地域では全く知名度がありませんでした。その結果、ブランドを宣伝している意味がほとんどないような数年間を過ごすことになりました。(今考えてみれば、自分たちがやりたかったものとそのブランド自体が噛み合っていなかったとも思います。)目の前の加盟金やロイヤリティの安さに釣られて、肝心なところを見落としていました。

ぼんやりと「FC(フランチャイズ)を始めるのもいいかなぁ」という方は、まずは自分の転職目的を考えるところまで戻ってみることをオススメします。サラリーマンからの転職であれば、自分の向き不向きや考え方の傾向も含めた「自己分析」が特に大切です。転職サイトをうまく活用したり、エージェントに相談したり、周囲にアンテナを張り巡らせながら、自分なりの転職イメージをまとめていきましょう。